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【10】‐1 はじめに

摂食障害の症状である過食がある人の中には、糖尿病を恐れている方も多いことでしょう。
糖尿病には大きく分けて1型糖尿病と2型糖尿病があります。
摂食障害の症状である過食は、生活習慣病として知られる2型糖尿病発症のリスク行為です。
2型糖尿病のみならず妊娠糖尿病をも発症しやすいでしょう。

また、摂食障害は1型糖尿病とも関係の深い病気です。
いずれのタイプにせよ、糖尿病の治療の大きな柱のひとつが食事療法です。
しかし摂食障害は、思うように食事が取れない、食べることをコントロールできない病気です。
摂食障害の方が食事療法を行うのは、過食衝動のある人に「過食してはいけません。」と言うことほどナンセンスで時に有害です。
食事療法によるストレスがつぎの過食を誘発しかねません。

糖尿病を発症した場合、その治療のかなめである食事療法は、摂食障害の病状の悪化をもたらすでしょう。
食事療法に伴うストレスだけではありません。
糖尿病の病状の進行への恐れや不安。
適切な治療ができない自責や罪悪感。
一時的にでも過食を我慢しようとするストレス、それでも過食してしまうストレス。
どれをとっても、さらなる過食を誘発しうる程のストレスです。

摂食障害の症状である過食や過食嘔吐は糖尿病の病状を悪化させるものです。
過食によってインスリン必要量が増し、過食による体重増加や高脂血症は身体のインスリン抵抗性を上げます。
このようなしくみのもと、過食や過食嘔吐は2型糖尿病発症を引き起こします。
摂食障害と糖尿病は、お互いがお互いを悪化させてしまう、非常に取り合わせが悪い病気です。