摂食障害のホームページ



【16】-3 私が経験した拒食症

「もっと私を見て。」
私は、過去に2回摂食制限型の拒食状態になったことがあります。
1回目は、ダイエットをしているつもりでした。
食べ物をセーブすることで体重が減ったり、それによって体型が変わることがとても嬉しかったのを覚えています。
身体がふらついて、立ちくらみがひどくなっても、本気のダイエットをしているんだからこんなものだと思いました。
身体の不調を押してダイエットしている状態は、拒食症の病理に非常に近い状態です。
数カ月後には過食・嘔吐症状が発症し、過食排出型の拒食症に移行しました。

2回目は、炭水化物がほとんど食べられなくなりました。
この頃は、体重が減ることで強い安心感を得ていました。
体重が同じか、やや増えていると落ち着かず、そわそわとしました。
また、イライラして怒りっぽくなりました。
体重が減って月経が来なくなると、「やばいよな・・・、でも・・・。」と思いました。
私にとっては体重減少による無月経の心配よりも、体重が減って得られる安心感の方が大事でした。
いずれの場合も、摂食制限型の拒食症という病気である自覚はほとんどありませんでした。
当時を思い出すと、自分で自分を型にはめこんで、徐々に視野が狭くなり、そこを突き進むような感覚がよみがえります。
頭のカタスミで「何かおかしい」と感じていたかもしれません。

(2)やせて心配されたかった

気を遣われれること・心配されることが嬉しい
摂食制限型の拒食症のときに、こんな体験をしました。
体重減少に伴って体力が落ち、私が持てなかった重い荷物を親切で運んでくれた方がいました。
周りから心配されている感覚を肌で感じました。
それには申し訳なさも感じましたが、同時に嬉しくもありました。

人が私の体調を気遣わしそうにしてくれている様子は、心躍るほど嬉しかったのを覚えています。
今当時を振り返ると、やせて周りから心配されたかったのだと思います。
病的にやせることで、ガラス細工のように大切に大切に扱われたかったのだろう、と思います。
摂食制限型の拒食症の極期にいた当時は、そのようなことは全く自覚していませんでした。