【17】-4 摂食障害合併妊娠と早産、流産の予防について
(1)最優先は摂食障害を治すこと
失うところだった命を医療の進歩に伴って救えるようになった現状はすばらしいものですが、母親が摂食障害・過食症・拒食症でなければ起こり得なかった早産、低出生体重出生に関しては、その予防が極めて重要です。
そもそも、
過食嘔吐していなければ・・・
下剤や利尿剤を使っていなければ・・・
やせていなければ、妊娠中にちょうど良い体重増加を果たせていれば・・・など、
なにか起こってから悔やむのでは遅すぎます。
母親が摂食障害・過食症・拒食症に侵されているためにこそ起こる妊娠合併症、おなかの赤ちゃんの早産や低出生体重出生を予防するためには、妊娠よりも先に、母親となる女性が摂食障害・過食症・拒食症を治さなければいけない、ということです。
(2)子どもに一生の苦しみを背負わせないために
早産・低出生体重出生では、出生直後から入院中も多くの試練がありますが、それらを無事にくぐりぬけても、子どもの時分から肥満、高血圧、高脂血症や2型糖尿病などのメタボリックシンドロームになりやすいことが知られています。
肥満、高血圧、高脂血症、2型糖尿病などのメタボリックシンドロームを抱え、それらに一生悩まされ続ける、ということを考えると、予防できるものならば、予防したい、それらの苦しみが無い人生を選びたいのが人情、まして子どもにそれが用意できるならば用意してあげたいのが親心でしょう。
母親が摂食障害・過食症・拒食症を治し、症状に悩まされることの無い日常を過ごし、適切な体重で妊娠し、適度に体重が増える安定した妊娠経過を過ごし、満期でお産に至れたのであれば、おなかの赤ちゃんは早産による数多の困難をくぐりぬける必要もなく、将来的な生活習慣病のリスクまで格段に下がった状態で生を受けるでしょう。
母親が、心身ともに健やかに、安らかに妊娠経過を過ごすことで、おなかの子どもに、将来にまで及ぶ健康な身体という最高のプレゼントができるのです。
(3)妊娠の前に摂食障害・過食症・拒食症の完治を目指す
妊娠を考えるのであれば、その前に、摂食障害・過食症・拒食症の完治を目指すことです。
早すぎる早産は、赤ちゃんを死なせてしまったり、脳性まひや未熟児網膜症による失明など、その後一生抱えなければいけない障害を赤ちゃんに背負わせることもあるでしょう。
あなたの過食・過食嘔吐・チューイング・下剤や利尿剤のあやまった使用が原因で、赤ちゃんを失ったしまったら・・・
命が助かっても一生ものの障害をわが子に背負わせてしまうことになったら・・・
自分が妊娠中過食嘔吐してさえいなければ、自分が病気を治してさえいれば、という後悔を抱えながら、子育てや子どもの介護をするのは、とても大変なことでしょう。
摂食障害を治さずに妊娠してしまうと、一生後悔してもしきれない事態が起こる可能性もあるのです。
なかには、その事実を正視できないまま、過食・過食嘔吐・チューイング・下剤や利尿剤の誤用、その他の依存物質や行為にすがり、ボロボロになりながら命をつないでいる方もいるかもしれません。