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【19】-3排便を促す薬物や行為への依存とのつながり

(1)自然排便を待てないという摂食障害の特徴

摂食障害・拒食症・過食症では便秘になりやすい上、排出衝動・やせ衝動のために、自然排便を待つ、ということもなかなかできません。

摂食障害・過食症・拒食症では、排便が順調ではないとき、以下のように感じることがあります。

・毎日排便が無いととても気になる、嫌だ。
・太るのではないかと心配だ。
・おなかが張っているようで耐えられない。
・おなかのあたりが、ずっともやもやしていて不快だ。

これらのガマンならない不快なきもちは、摂食障害であれば当然あり得るもので、こういった感じ方は、実に摂食障害らしいものです。時として、これらの不快な感情を深層心理に押し込めて、「なんとなく」という自覚程度で、下剤・便秘薬、浣腸、その他の行為への依存に至っている場合もあるでしょう。

「なんとなく」から依存に

摂食障害・拒食症・過食症では、ガマンならない不快な気持ちのために、あるいは「なんとなく」下剤・便秘薬、浣腸などの強制的に排便を促す薬物や行為が始まり、あっというまに依存に至ってしまいます。
1日でも排便がないと、それが気になってストレスになる。
ストレスがおなかの緊張につながって、より便通が悪くなる。
自然排便を待てず、思い切って便秘薬や浣腸など強制的に排便を促す薬や行為でもって便を出す。
それが癖になり、下剤・便秘薬、浣腸を使わないではいられなくなる、というわけです。

(2)さまざまな排出行為

強制的に排便を促す手段として、便秘薬・下剤、グリセリン浣腸の他に、ウォシュレットによる水浣腸なども当てはまることがあるでしょう。
医師、看護師などの医療従事者が摂食障害を患っている場合など、「摘便」といって指を肛門に入れて便をかき出す行為や、肛門からチューブを入れ、腸に大量の液体を出し入れする「高圧浣腸」といった医療行為が、強制的に排便を促す行為として加わる場合もあります。
医療従事者が摂食障害であるとき、医療行為が摂食障害の症状に加わることがしばしばあるようです。「瀉血(しゃけつ)」といって、からだから血液を抜く医療行為がありますが、「やせ衝動」、「排出衝動」に突き動かされ、自分自身に瀉血を行っているケースもあります。

下剤・便秘薬、浣腸など強制的に排便を促す薬物や行為が癖になると、その刺激が無くなったり、同じ量では、反応が鈍くなり、かえって便秘がひどくなります。
便秘が嫌で薬など強制的な手段を使って出すと、まわりまわって便秘がひどくなり、便秘薬・下剤の量や浣腸の回数がどんどん増える、そうして、ますます自然排便から遠のく・・・悪循環のはじまりです。