摂食障害のホームページ



【20】-3卵巣の成長サイクルから見た性周期

(1)卵胞について

初潮以後、女性の左右の卵巣には数十万個の卵胞(卵子)が備わっており、1回の性周期でいくつかの卵胞が消費され、卵巣から卵胞が枯渇したときに閉経となります。
卵胞の中心には卵母細胞が据えられ、その周囲を顆粒膜細胞、莢膜細胞が取り巻いています。卵母細胞を取り巻く顆粒膜細胞、莢膜細胞が、卵胞の成熟段階に応じて、女性ホルモン(エストロゲン、プロゲステロン)や男性ホルモンを分泌します。卵母細胞は受精卵に母親側の遺伝情報を伝えるもので、排卵時に卵胞を飛び出して卵管膨大部で精子との出会いを待ちます。卵母細胞が抜けた後の卵胞は黄体に変化し、女性ホルモンを活発に分泌していきます。

(2)卵巣周期とは

女性の性周期は、卵巣周期ともいい、妊娠、受精に備えた卵胞の成長サイクルでもあります。
1回の性周期のうち、卵胞期の初期に成長したいくつかの卵胞のなかから、排卵に至る卵胞はひとつだけです。卵胞期に育ち始めたいくつかの卵胞のうち、LH,FSHに応答できるなど各種性ホルモンに呼応できる卵胞が淘汰され、ひとつだけ成熟していきます。成熟した卵胞が排卵に至り、排卵後の卵胞が黄体へと変化し、黄体期となり妊娠に備える、妊娠が成立しなければ黄体は寿命を迎えてその卵胞のサイクルの終了、この頃月経が始まり、同時に次のサイクルの卵胞が育ち始める、という流れです。
卵巣周期は、卵胞期、排卵、黄体期、月経、の一連のサイクルのくり返しで、卵胞期、黄体期がそれぞれ2週間ほどで、排卵は数時間、月経がはじまるとすでに次の世代の卵胞の卵胞期に入っているので、女性の性周期は約1ヶ月となっています。
女性のからだの性周期は、性腺に関わるホルモンの微細な働きが幾重にも折り重なり、呼応し合って、潮の満ち引きのようなリズムが作り出されて、くり返す、芸術にも等しい現象です。結果としてエストロゲンやプロゲステロンなどの女性ホルモン、その他性周期に関わる各種ホルモンが、しかるべき時期にしかるべき量分泌され、過剰も不足もなく役目を果たすようにできています。

(3)卵胞期からLHサージまで

いくつかの卵胞が育ち始め、そのなかでひとつだけの卵胞が成熟していくまでを卵胞期といいます。下垂体からのLH,FSHの働きと、それに応答することのできる卵胞のみが成長するため、最も成長の早い卵胞が成熟卵胞となります。成熟した卵胞から、もっとも女性ホルモン活性の強いエストロゲンが活発に分泌されるようになり、これが高じると、下垂体からのLH,FSHの分泌が一時的に最も高まります。この分泌の高まりは排卵を引き起こす引き金となるLHサージと呼ばれます。
エストロゲンの分泌の高まりが、下垂体からのLH、FSHの分泌の高まりを引き起こすこの現象は、正のフィードバックといって、性ホルモンに特有の現象です。女性の性周期において、各種性ホルモンの典型的な分泌パターンを形作る上で鍵となる現象でもあります。

(4)LHサージから排卵

成熟した卵胞の分泌するエストロゲンの高まりがLHサージを引き起こし、これによって卵胞から配偶子としての卵子、卵母細胞が飛び出します。これが排卵です。排卵後、卵母細胞は卵管内にキャッチされ、卵管膨大部という卵管の内部で精子との出会いを待ちます。卵母細胞の受精可能な期間は数時間といわれていて、妊娠が成立しなければ、その後排出されます。

(5)黄体期、月経まで

卵母細胞が飛び出た後の卵胞は黄体へと変化します。LHが作用することで黄体から活発にプロゲステロンが分泌され、このプロゲステロンの作用により、子宮内膜は赤ちゃんである受精卵が着床するのにふさわしい、居心地の良いベッドとなるべく変化します。これが黄体期です。卵管膨大部で受精卵が発生したとき、受精卵は分裂をくり返しながら卵管を移動し、子宮に到達するまで1週間ほどかかるので、約2週間という黄体期の持続期間は、よくできています。着床が成立すると、黄体は妊娠黄体へと変化し、胎盤がちゃんとできるまでの間、赤ちゃんを育むのに必要なホルモンを分泌します。
受精卵が発生しなければ、約2週間で黄体は寿命を迎え、消えていきます。黄体の機能が失われると、着床に備えていた子宮内膜は不要となり、剥がれ落ちるため、性器から月経血として排出されます。月経のころ、次の生理サイクルの卵胞が育ち始めるため、月経期は次の卵胞周期の卵胞期初期にあたります。