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【20】-4女性のからだではたらく性ホルモンについて

(1)女性ホルモンと男性ホルモン

卵巣から分泌されるホルモンのうち、エストロゲンとプロゲステロンを女性ホルモンといいます。
実は卵巣からは男性ホルモンも分泌されていて、男性ホルモンは女性のからだにも必要なホルモンなのです。
女性ホルモンも男性ホルモンもステロイドホルモンの一種であり、ステロイドホルモンの特徴は、作られる過程が同じで、構造上も似ていることで、たったひとつの酵素が働くだけで、男性ホルモンが強力な女性ホルモンに変化したりします。卵巣から、強力な女性ホルモン作用をもつエストロゲンであるエストラジオールが活発に分泌されるとき、まさにこの過程でもって男性ホルモンであるテストステロンからエストラジオールがつくられます。
卵巣にはたくさんの卵胞が存在していて、この卵胞がエストロゲン、プロゲステロン、男性ホルモンを分泌できます。卵胞が活発にこれらの性ホルモンを分泌し始めるのは、女性が妊娠可能な状態となり出す思春期頃です。この頃になると卵胞の成長がはじまり、それが視床下部、下垂体からの性周期を形作るホルモンの分泌と呼応すると初潮を迎え、以後、約1ヶ月のサイクルによる性周期が刻まれ始め、それは閉経まで続きます。

(2)卵胞が分泌するホルモンとその作用

卵胞は、その中心に母親としての遺伝情報を含む配偶子としての卵母細胞、それを取り巻く顆粒膜細胞、さらにそれを取り巻く莢膜細胞(卵胞膜細胞)などから成ります。卵母細胞を取り巻く顆粒膜細胞、莢膜細胞が、各種性ホルモンを分泌しますが、その種類や量、バランスは卵胞の成長段階によって変化します。

卵胞期に分泌されるホルモン

卵胞期に活発にエストロゲンを分泌するのは顆粒膜細胞であり、その顆粒膜細胞は最も女性ホルモン活性の高いエストラジオールというエストロゲンを分泌しますがこれには莢膜細胞の協力が不可欠です。卵胞期にLHに刺激された夾膜細胞から男性ホルモンが分泌され、この男性ホルモンが近接する顆粒膜細胞に移行して、FSHの刺激のもと、エストラジオールに変換されるからです。
そしてこのエストラジオールの分泌の高まりこそ、排卵に不可欠であるLHとFSHの分泌の高まり、LHサージが起こるために必要なものです。

黄体期に分泌されるホルモン

排卵が起こり黄体期に入るとLHに反応するように変化した莢膜細胞・顆粒膜細胞両方から活発にプロゲステロンが分泌されるようになります。また、顆粒膜細胞からはエストロゲンも分泌されます。この変化はLHサージによってもたらされると考えられます。

(3)性ホルモンの作用には性周期の正確性が重要

つまり、性周期によって卵巣から分泌されるホルモンの種類、量、バランスが異なり、卵胞期には莢膜細胞から男性ホルモンが分泌され、それが顆粒膜細胞に移行して活性の強い女性ホルモンであるエストラジオールに変化し分泌され、LHサージが起こるとそれがスイッチとなって、黄体期には莢膜細胞からプロゲステロン、顆粒膜細胞からエストロゲンとプロゲステロンが、分泌されるわけです。
卵巣から分泌される性ホルモンであるエストロゲン、プロゲステロン、男性ホルモンは、定期的に排卵が成され、性周期が正確に刻まれてこそ、それぞれがそれぞれの特性をいかんなく発揮できるようにできています。そして、自然の営みにまかせた状態であれば、性ホルモンがからだに害を成す心配をすることも無いのです。