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カテゴリ : 【09】妊娠全経過と摂食障害のカンケイ

【9】-1 妊娠初期~着床前~

(1)月経停止やつわりが起きる妊娠初期

妊娠初期は、日本では妊娠16週未満を指します。
母親となる女性が妊娠に気付くきっかけは、月経停止や「つわり」でしょう。
定期的に月経がある人の場合、早ければ妊娠4~5週には妊娠の可能性に気付けます。
また、「つわり」は妊娠5週ころから出現するので、「つわり」を認めた場合にも妊娠に気付けるでしょう。
月経が不定期だったり、「つわり」に気付けなかった場合には、妊娠10週以後に気付く場合もあります。
妊娠10週ごろには胎児の重要臓器はほぼできあがっています。
流産の多くが妊娠12週未満に起こると言われています。
母児ともに、妊娠初期はとても大切な時期です。
妊娠初期は胎盤が作られる時期でもあります。
胎児の着床とともに胎盤が作られ始め、妊娠16~20週頃にその形やしくみが完成します。

(2)卵子に蓄えられた栄養で胎児が育つ

妊娠初期、着床前に、胎児はどこから栄養を摂っているのでしょう。
母体の卵管膨大部で受精が起こると、新しい生命が発生します。
受精卵は、ひとつの細胞から、分裂を繰り返して細胞塊となります。
発生の極初期の段階です。
このころに、母体の卵子に蓄えられていた栄養分が必要不可欠と思われます。
母体の一生分の卵子は、母親が赤ちゃんのころから卵巣に備わっています。
2次性徴がきて母親となる女性に排卵が始まるまで、母体に備わった卵子の数は変わりません。
卵子は女性が胎児のころから、ずっとその女性とともに年月を重ねています。
女性が年を重ねるごとに、卵子も年を重ねます。
女性のライフスタイルの中で、妊娠に適した時期があるのは、卵子も年をとるからです。
女性がこの世に生まれてから受けた外界からの全ての刺激は、同時に卵子にも影響しています。

母体の栄養状態と卵子

女性が妊娠するまでの全人生を通じての栄養状態も、卵子に影響しています。
女性が栄養失調に陥れば、その悪影響は卵子にも及んでいるでしょう。
母体の卵子は、母親となる女性のそのまた母親の栄養状態にも強く影響されます。
母体の卵子は、母親となる女性がそのまた母親のお腹の中にいるとき、胎児期に作られるからです。
女性が妊娠した時、そのお腹の子どもは、祖母となる女性の栄養状態にも影響されます。
母体の栄養状態は子子孫孫にまで影響するのです。
発生の極初期の段階にある着床前の胎児にとって、母体の卵子に蓄えられた栄養が重要です。
母親の妊娠までの人生全ての栄養状態が、母親のそのまた母親の栄養状態が、それを左右します。

(3)妊娠初期・着床前と摂食障害のカンケイ

摂食障害では、摂食制限(拒食)、普通食嘔吐やチューイング、過食後の絶食などの症状があります。
摂食障害はうまく栄養が摂れない病気です。
経過中に極端に痩せたり、太ったりしてしまいます。
特定の食物しか摂取できず、栄養が極端に偏ることもあります。
摂食障害では、著しいやせによる栄養失調や、偏った食生活に伴う栄養バランスの乱れが生じます。
摂食障害に伴う栄養摂取不良は、その方の卵子に影響しているでしょう。
そしてその影響はやがて母体となる身体に降り積もっていきます。

栄養不良による流産も

母親が摂食障害で、卵子に十分な栄養がなかった場合、どのようなことが起こるのでしょうか。
受精卵が発生しても、細胞分裂が進まずにそのまま流れる、つまり流産する、などのことが考えられます。
妊娠の全経過に言えることですが、特に極初期には、母親の全人生の栄養状態の総和がものをいいます。
摂食障害の妊婦さんの、妊娠までの全人生の栄養状態の総和は、低いと言わざるを得ません。

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