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摂食障害での妊娠と出産、結婚生活等について

「結婚して誰かと一緒に住めば過食しないで済むかも」「妊娠・出産をすれば摂食障害が治るんじゃないか」そんな風に思ったことはありませんか?
結婚や妊娠・出産をきっかけに、過食症状が止まったり軽減する人は稀に居ますが、それはあくまで一時的な現象であり、病気自体が良くなっているわけではありません。
結婚や妊娠という非日常な出来事によって症状が”びっくり停止”しているだけという可能性が高く、いずれリバウンドのように再発します。
過食症を抱えながら妊娠した人の大半は、症状が悪化しています。
辛い経験をする前に、妊娠・出産における摂食障害の危険性を知っておきましょう。

摂食障害がありながらの結婚生活

過食症状など、摂食障害の症状をもちながら結婚するとどうなるでしょう。
「誰かと一緒に住んで同じように食事をすれば過食や過食嘔吐は止まるかもしれない」と思うかもしれませんね。

しかし摂食障害の人にとって結婚するということは負担が増え、ストレスも増えるということなのです。
一時的に症状が”びっくり停止”したとしても、結婚生活に慣れてくるといずれ症状はもどってきます。
一緒に住む人が居ることで自由に過食できる時間が無くなるストレスなどによって、症状が増えることもあります。

過食できないイライラやストレスで旦那さんに当たってしまい、夫婦関係がうまくいかなくなり、更にストレスが増える・・・悪循環になってしまいます。
症状がありながら、毎日の料理や洗濯、掃除、親戚付き合い、ご近所付き合いをするのはとても大変なことです。

つわり(悪阻)による症状悪化

過食や過食嘔吐を抱えながら妊娠をするとどういうことが起こるのでしょうか。その危険性を知っておきましょう。

過食症のまま妊娠するということは、「妊娠特有の症状+過食症の症状」になるということです。
つわりで一時的に過食が止まり、体重が減ったとしても、つわりが終わると体重が増え、また過食や過食嘔吐をしてしまうということは少なくありません。
妊娠中の体重管理の事も気になってしまい、”太ってはならない”という気持ちから、症状が増える可能性が高いです。

また、常になにか口にしていないと気持ち悪くなる「食べづわり」によって、過食や過食嘔吐が増えることもあります。

妊娠中に増えた過食や過食嘔吐の症状は出産後に元通りになるとは限りません。今まで以上に体重を気にするようになり、症状悪化の可能性も高いのです。

妊娠中毒症

妊娠中の過食や過食嘔吐は妊娠中毒症を引き起こすこともあります。
過食による大幅な体重増加や、体の疲れ、精神的な疲れにより引き起こされやすいです。
高血圧、尿タンパク、むくみという症状が現れます。
重症になると母子共に危険な状態になり、帝王切開になることもあります。
妊娠中毒症にかかると妊娠糖尿病にもなりやすく、高血圧になると毛細血管の抵抗性が高くなり、糖尿病を悪化させます。

嘔吐による切迫せっぱく早産、切迫流産。早産。流産。

妊娠中に腹部を圧迫したり、ダメージを与えると切迫流産、切迫早産の原因になります。
陣痛を感じない代わりに消化器症状が出る人もいることから、子宮の収縮と嘔吐は深く関係していると考えられます。

嘔吐は胎児にも母体にも多大なリスクを与えます。

【流産】
妊娠21週までに胎児が流れ出てしまうことを言います。
【切迫流産】
妊娠21週までに流産しかけている緊迫した状態を言います。
【早産】
妊娠22~36週で出産することを言います。早産として生まれた胎児は、自力での成長は難しく、医療の力で成長したとしても後遺症の可能性もあります。
【切迫早産】
妊娠22~36週の成長が未完成な胎児が早い時期に生まれかかっている状態をいいます。

自分を責める気持ちと、胎児への罪悪感。

妊娠から出産まで、人生で何度も経験することはないマタニティライフ。 あなたはどんな生活をしたいですか。

妊娠中の過食症状に、どんなことを感じるのでしょうか。
“赤ちゃんは無事生まれて来ることができるのか”などの不安を抱え、落ちこんだ気持ちのまま過ごしてしまうかもしれません。
毎日辛い気持ちで過ごすことは胎教にも良くないですね。
次の様なケースを考えた時、あなたはどんな気持ちになりますか

  • お腹に赤ちゃんが居ても無理矢理お腹を圧迫して吐くのが止められなかったら。
  • 過食嘔吐が原因で早期に破水してしまったら。
  • 赤ちゃんの為にバランスの良い食事をしたいのに、体に悪いジャンクフードや甘いものばかり食べるのが止まらなかったら。
  • 赤ちゃんの為にきちんと体重管理をしたいのに、過食が止まらなかったら。
  • 妊娠中毒症を起こして帝王切開になったら。

低体重と障害

過食や過食嘔吐が原因の早期出産、赤ちゃんの発育不良の可能性は大いに考えられます。
赤ちゃんが低体重で生まれてきたり、障害をもって生まれてくることになるかもしれません。
お母さんの体が過食によって酷使されていたり、元気が無いと、お腹の赤ちゃんにも何らかの影響が出てくる場合があります*。
「過食症ではなければ、こんな事態にはならなかったかも知れない。」
そんな後悔をする前に、摂食障害をもちながら妊娠・出産することの危険性を十分知り、結婚や妊娠をする前にまずはあなたの摂食障害を回復させることが必要です。

※事例があるということですので、お母さんが過食症であれば低体重や先天性の障害を持った赤ちゃんが必ず生まれるというわけではありません。