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下剤・利尿剤を使ったダイエット

下剤でダイエットをしたい場合はどうしたらいいの?

下剤を使用して、体重が減るケースもあるでしょう。
ダイエットを体重を減らすことと同義とすれば、下剤にはダイエットの効果があるということになります。

しかし下剤で体重が減るのは、身体の中の水分が減るためです。
ダイエットをする方の多くが、体脂肪を減らすためにダイエットをしているのではないでしょうか。

下剤で体重が減るのは、身体の中の水分が減るためで、体脂肪が減るためではありません。
人体の大部分が水分から成り、水分喪失・脱水は体重に大きく影響します。
身体の脱水で体重が減るのです。
下剤を使うと身体の水分バランスが大きく崩れて、身体が脱水に傾くので、体重が減るのです。

ダイエットをやみくもに体重を減らすことと同じとすれば、下剤にはダイエットの効果があります。
しかし、ダイエットを美しく健康的に体重を減らすこととすれば、下剤にはその正反対の効果しかありません。

人の身体にとって水分は非常に重要なので、身体は脱水という異常事態を回避すべく反応します。
身体のホルモンバランスが変化することで、水分を貯め込みやすい体質になるのです。
これはむくみやすい体質がついたということです。
また、水分の出し入れに伴う体重の変化が起きやすくなったということでもあります。

下剤を使用することで、脱水による体重減少が起こるでしょう。
それと同時に、身体はむくみやすく、水分による体重変動も大きくなります。
そのむくみや一次的な体重増加に対して、下剤をさらに増量してしまうのが下剤依存の始まりです。
下剤による副作用を考慮すると、下剤をダイエットに使用するのは止めた方が良いでしょう。

下剤の使用によって体重が減ったとしたら、むしろそれはあなたの身体が不健康に傾いた証拠です。
ダイエットが成功したのではなく、薬によって、とてもむくみやすい体質がついた、と考えてください。
そして、それを下剤のさらなる増量で解決しようとした時、あなたは下剤乱用・下剤依存の道を進み始めたことになります。
下剤をダイエット目的に使用することは、下剤乱用・下剤依存・利尿剤誤用へとつながるでしょう。

下剤や利尿剤にダイエットの効果はあるの?

下剤は大腸で水分の再吸収を抑え、便とともに水分を体外に排出します。

利尿剤は腎臓に働いて、尿とともに水分を体外に排出します。

人体のほとんどは水から成りますから、下剤や利尿剤を使用して身体の水分が減ると、体重が減ります。
下剤や利尿剤でもって体重が減るとしたら、それは、あなたの身体が脱水状態に傾いた、ということです。

この脱水状態に反応した身体のホルモンの働きで、あなたの身体は非常にむくみやすくなります。
体重が減っても、顔がまるくなったり、足が太く見えるようになる、ということです。
下剤や利尿剤でダイエットしようとすると、周りからはかえって太ったように見えることもあるのです。

このむくみをとるために、下剤や利尿剤をさらに使用して、悪循環になってしまうことが多いようです。
このむくみをとるには、薬を中止するしかありません。

薬の中止に伴って一時的にむくみがひどくなることがあります。

それでも、この悪循環から抜け出すには、薬を中止するしかありません。

ただし、独断で薬を中止するのは危険を伴う場合があります。

下剤を規定量以上に内服している方や利尿剤を使用している方は、医療機関を受診し、医師の指示をあおいでください。

下剤や利尿剤によるダイエットの危険性

下剤や利尿剤の使用によって慢性的に脱水状態が続くと、身体が疲弊してきます。
この身体の疲弊によって食欲が減退し体重がさらに減少することもあるかもしれません。
身体の不調が増えたり、ミネラルバランスの異常も来しやすい状態となるでしょう。
このときには、あなたの顔色は悪く、手足の先は冷たく、顔や足はむくんでおり、とても健康的で美しくは見えないでしょう。

下剤や利尿剤の使用によるミネラルバランスの異常では、低カリウム血症が起こりやすいでしょう。
低カリウム血症によって、致死的な不整脈や、呼吸筋を含む全身の筋肉の硬直が引き起こされます。
下剤や利尿剤を使うことで低カリウム血症となると、命の危険にさらされることがあります。
下剤や利尿剤を気軽にダイエットに使用すると、その代償として、健康な身体ばかりか、命まで取られかねません。

下剤・利尿剤によるダイエットを考えている方、または既に行っている方へ

下剤や利尿剤で体重を減らすことは、あなたが自分の身体を人工的に病的な状態に追い込んでいることです。
このことが理解できても、摂食障害がある場合、容易にその使用を止めることなどできません。
そこには摂食障害の病理の中核ともなる「やせ衝動」「排出衝動」が関与しているからです。

重ねて言います。

下剤を規定量以上に内服している方、利尿剤を使用している方は、非常に危険ですので、独断で中止しないでください。
かならず医療機関を受診し、医師の指示をあおいでください。

下剤や利尿剤をダイエット目的に使用するのは非常に危険なことです。
下剤や利尿剤の使用の危険性を理解しても、ダイエットのために利尿剤や下剤を使いたい、あるいは使っているのであれば、その方は摂食障害なのです。

摂食障害の方が病気を治さずにダイエットすることはできません。

一次的に減量に成功しても、過食衝動が爆発するなどして、リバウンドします。
残念ながら、減量前の体重よりもさらに増えてしまうケースが多いのです。
摂食障害の方がダイエットする場合、まずは摂食障害を治す必要があります。