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【20】-1はじめに

(1)摂食障害には多い生理のトラブル

摂食障害・過食症・拒食症は食べることを自分でコントロールできず、過食や過食嘔吐、チューイング、絶食や過度な食事制限(節食)、過食と絶食・節食のくり返しなど、食べることにまつわるさまざまな症状、不自由を抱えているものです。
食べることにまつわる症状以外で、摂食障害によく見られるからだの異常のうちのひとつに、生理のトラブルがあります。この生理のトラブルに対しては、分かっているけど放っておく、本当に異常に気付いておらず見過ごしているなど、対応はさまざまでしょう。
摂食障害・過食症・拒食症の生理のトラブルとして、ダイエットのし過ぎによるもの、体重減少性の無月経(生理が3ヶ月以上来ない) や稀発月経(生理がたまにしか来ない)がよく知られています。実際は、体重・体型に関わらない生理のトラブルもかなり多いと思われます。なかには、摂食障害を背景とした複数の要因が絡まり合って生理のトラブルにつながっている場合もあるでしょう。
食べることになんらかの不自由があったり、過食や過食嘔吐、チューイングのある方で、生理が規則的でなかったり、なんらかのトラブルがある場合、それは過食や過食嘔吐、チューイングなど摂食障害のせいかもしれません。

(2)排卵障害がなぜ問題なのか

摂食障害・過食症・拒食症に多い生理のトラブルには、排卵障害、つまり、無月経、稀発月経、生理が来ているように見えて実は排卵していない(無排卵性周期症)が多いと思われます。また、この後詳しく説明しますが、摂食障害は多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を合併しやすいでしょう。
では、排卵障害の何が問題かというと、そもそも女性のからだの性周期は生殖のためにあるものなので、排卵がうまくいかなければ、当然不妊の原因になるでしょう。
また、排卵障害では、排卵に備えた各種ホルモンの典型的分泌パターンが失われ、女性ホルモンの分泌が充分ではなくなった状態です。女性ホルモンは、女性を女性らしく美しくするためのホルモンです。無月経や稀発月経などの生理のトラブルは、女性としての魅力、美しさが損なわれる、という不都合があります。
外見の美しさが失われるばかりか、女性ホルモンであるエストロゲンは骨粗しょう症や高脂血症などからだの病気の発症抑止にも関わるホルモンなので、無月経、稀発月経、無排卵性周期症など排卵がほとんど無かったり、生理と生理の間隔があきすぎる状態は、骨粗しょう症や高脂血症の発症が早まる危険もあるでしょう。

※生理(月経)とは・・・

初潮から閉経に至るまで、約1ヶ月の単位で、女性のからだは妊娠にそなえた性周期をくり返しています。そのサイクルのうち、自然のしくみとしての数日間の性器出血のことを「生理」、より医学的には「月経」といいます。