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【9】-18 Barker仮説にみる乳幼児の生活習慣

(1)乳幼児のための生活習慣を

あなたが、子宮内低栄養の影響で低出生体重児として生まれた子どもの親だとします。
子どものために、これから何ができるでしょう。
生活習慣病になりやすい性質かも、と知っているだけで違うでしょう。
幼児期の肥満など、なにか気になることがあった時に小児科医に適宜相談するなど、対応が早くなります。
また、乳幼児期に生活習慣をより良好に保つことで、生活習慣病をなるべく遠ざけることができるかもしれません。
胎児期から乳幼児期に至るまで、子どもの身体は旺盛な発達期にあります。
乳幼児期の環境の質に合わせた可塑性が発揮される場合もあり、これは体質の変化の余地があるということです。
乳幼児期により良い生活習慣を送ることは、生活習慣病になりやすい体質をも変化させうる可能性があります。

より良い生活習慣とは?

乳幼児のより良い生活習慣とは何でしょうか?
明確な指針はありません。
食生活に関しては、乳児期に母親の母乳を飲むことや、幼児期にはバランスのとれた多彩な食生活を送ることでしょう。
運動・休養に関しては、よく遊び、よく寝る、ということでしょう。
子どもがバランスよく食べることは非常に難しいことですが、食卓が温かく、楽しさに満ちていれば大きな問題はありません。
乳幼児期に最も大事なことは、安心で安全な家庭環境で、健やかに暮らすことです。
子どもが安心で安全な家庭環境で育つことは、子どもの生活習慣をより良い方向に導き、将来的にも良好な生活習慣の礎となります。

(2)乳幼児の生活習慣と母親の摂食障害

父親や母親が摂食障害を患っていると、子どもの生活習慣の中で大きな位置を占める「食習慣」が乱れる可能性が高いでしょう。
子どもは身近な大人を見て成長します。
子どもの生活習慣のモデルも身近な大人です。
食習慣に関しても、父親、母親がモデルになります。
摂食障害では、食生活が乱れがちで、偏った食品しか摂取できないことが多いのです。
患者さんによっては、人前で食事ができないために子どもの前でも食事を摂れない方もいるでしょう。
摂食障害は、家族で楽しく食卓を囲む、食事を楽しむ、といったことができない、できなくなる病気なのです。
子どもの生活習慣のモデルとなる親が摂食障害の場合、子どもの食習慣が健常に育たない可能性が高いでしょう。

しかし、逆を言えば、親が摂食障害から回復すると、子どもの食習慣の改善までも促されうるということです。

摂食障害を治すことで家庭が変わる

母親の摂食障害ゆえに、子どもに子宮内低栄養があった場合、その影響を最小限に止めるために最も良いのは、母親が摂食障害を治すことです。
母親というものは、その家庭に非常に大きな影響を及ぼしています。
母親が摂食障害の治療を開始し、症状が減ったり、うつ傾向などが軽減すると、家庭の雰囲気はガラリと変わります。
母親が摂食障害を治すことで、その家庭環境はより良いものに変化し、その変化は子ども達の健康をも守ることになるでしょう。